専門医が解説するテストステロン補充療法の効果・副作用・費用

健康情報・コラム

専門医が解説するテストステロン補充療法の効果・副作用・費用

「最近、どうもやる気が出ない…」「疲れが取れず、以前のような活力が失われた」と感じていませんか。その不調の原因が男性ホルモン「テストステロン」の低下にある場合、テストステロン補充療法(TRT: Testosterone Replacement Therapy)が有効な選択肢となることがあります。

しかし、ホルモンを補充すると聞くと、「どんな効果があるの?」「副作用はないの?」「費用はどのくらい?」といった疑問や不安が湧いてくるのも当然です。この記事では、泌尿器科専門医の監修のもと、テストステロン補充療法に関する正しい知識を分かりやすく解説します。

この記事を書いた人
  • ケン

    自身もAGAや医薬品の情報に悩んだ経験から、信頼できる医療情報だけを発信するブログを運営中。一次情報に基づき、読者の「あんしん」に繋がる情報を届けます。


この記事の監修者
  • 佐藤 健一(泌尿器科専門医・医学博士)

    泌尿器科専門医・医学博士。専門領域:ED治療、メンズヘルス全般、医薬品の安全性に関する公衆衛生学的研究。厚生労働省の医薬品安全対策部会に参考人として招聘された経験を持つ。日本泌尿器科学会において、偽造ED治療薬がもたらす健康リスクに関するシンポジウムを主導。著書に『デジタル時代のメンズヘルスリテラシー:情報に惑わされず健康を守る方法』がある。

テストステロン補充療法(TRT)とは?基本を解説

👉 このパートをまとめると!
テストステロン補充療法とは、加齢やストレスで減少した男性ホルモンを外部から補充し、心身の活力を取り戻すことを目的とした専門的な治療法です。

テストステロンは、単に「男らしさ」を作るホルモンではありません。筋肉や骨の健康を維持し、意欲や集中力を高め、精神的な安定を保つなど、男性が心身ともに健康な生活を送るために不可欠な役割を担っています。

このテストステロンの値が基準値を下回ると、原因不明の倦怠感や気分の落ち込み、性欲の低下といった、いわゆる「男性更年期障害(LOH症候群)」の症状が現れます。

テストステロン補充療法(TRT)の目的は、不足したテストステロンを注射や塗り薬で外部から補充し、血中のテストステロン値を若い頃のような正常な範囲に回復させることにあります。これにより、テストステロン低下によって引き起こされていた様々な不調を根本から改善することが期待できるのです。

具体的な効果は?活力と自信を取り戻す3つのメリット

👉 このパートをまとめると!
身体的な倦怠感の改善、精神的な意欲の向上、そして性機能の回復という、心身にわたる多角的な効果が期待できます。

テストステロン値が正常に回復することで、多くの男性が生活の質の向上を実感します。主な効果は以下の3つに大別されます。

  1. 身体的な効果:倦怠感の改善と筋力の向上
    最も多くの人が実感するのが、「朝スッキリ起きられるようになった」「日中の疲れ方が全く違う」といった倦怠感の改善です。また、筋肉がつきやすくなり、体脂肪が減少する効果も報告されており、体がエネルギッシュに動く感覚を取り戻せます。
  2. 精神的な効果:意欲の向上と気分の安定
    テストステロンは「やる気」や「競争心」といった精神活動にも深く関わっています。治療によって、仕事への意欲が回復したり、漠然とした不安感やイライラが軽減されたりするなど、精神的に前向きで安定した状態を目指せます。
  3. 性機能の改善:性欲の回復とEDの改善
    テストステロンは性欲(リビドー)の源です。補充療法によって性欲が回復するほか、勃起力の改善(EDの改善)にも効果が期待できます。パートナーとの関係改善にも繋がる重要なメリットです。

副作用とリスク|安全に治療を受けるために知っておくべきこと

👉 このパートをまとめると!
多血症などの副作用リスクがあり、特に前立腺に持病がある方は注意が必要です。安全のため、専門医による定期的な血液検査が絶対に不可欠です。

テストステロン補充療法は専門医の管理下で行えば安全性の高い治療ですが、副作用のリスクを正しく理解しておくことが重要です。

主な副作用としては、赤血球が増えすぎて血液がドロドロになる「多血症」、にきび、睡眠時無呼吸症候群の悪化などが報告されています。多血症は血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)のリスクを高めるため、治療中は定期的に血液検査を行い、赤血球の数値をチェックする必要があります。

また、前立腺がんの持病がある方、またはその疑いがある方は、この治療を受けることができません。テストステロンが、がんを進行させてしまう可能性があるためです。治療開始前と治療中には、PSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーを定期的に測定し、前立腺の状態を監視することが極めて重要です。

治療の流れと費用|どのくらいかかる?

👉 このパートをまとめると!
血液検査で診断後、主に注射による治療が一般的です。健康保険が適用されない自由診療となり、費用は月々1万円~3万円程度が目安です。

実際に治療を受ける際の一般的な流れと費用の目安は以下の通りです。

治療開始までの流れ

  1. 問診・診察:現在の症状や既往歴などを医師に詳しく伝えます。
  2. 血液検査:血中のテストステロン値(特に遊離テストステロン)や、前立腺の状態(PSA)などを測定します。
  3. 診断・治療方針の決定:検査結果に基づき、医師がテストステロン補充療法の適応があるかを診断し、最適な治療法を提案します。

主な治療法と費用の目安

日本では、数週間に一度、筋肉注射でテストステロンを補充する方法が主流です。この治療は、原則として健康保険が適用されない「自由診療」となります。

費用はクリニックによって異なりますが、診察料や注射代、定期的な血液検査代を含め、月々1万円~3万円程度が一般的な目安となります。

よくある質問(FAQ)

Q. 効果はいつから実感できますか?

A. 個人差が大きいですが、早い方では治療開始後1ヶ月程度で倦怠感の改善や意欲の向上を実感し始めます。筋力や性機能の改善には、3ヶ月~半年程度の期間を見ることが一般的です。

Q. 治療はずっと続けないといけないのですか?

A. テストステロン補充療法は、加齢によって自然に低下したホルモンを補充する治療であるため、効果を維持するためには継続が必要です。治療を中止すると、テストステロン値は元のレベルに戻り、症状が再発する可能性があります。治療の継続や中止については、定期的に医師と相談しながら決めていきます。

Q. 自分で注射することはできますか?

A. 日本では、医師法により自己注射は認められていません。必ずクリニックに通院し、医師または看護師による注射を受ける必要があります。

まとめ:専門医と相談し、活力ある毎日を取り戻そう

テストステロン補充療法は、原因不明の活力低下に悩む男性にとって、生活の質を劇的に改善する可能性を秘めた有効な治療法です。しかし、その一方で副作用のリスク管理も不可欠であり、自己判断で行うことは絶対にできません。

もしこの記事を読んで「自分も当てはまるかもしれない」と感じたら、まずは泌尿器科やメンズヘルスクリニックの専門医にご相談ください。正しい知識と専門家のサポートのもと、かつてのような活力と自信に満ちた毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました