【医師解説】オンライン診療は違法?合法?厚生労働省ガイドラインに基づく安全性の真実
「オンライン診療って、本当に法的に大丈夫なの?」
「医師と直接会わずに薬をもらうなんて、何か裏があるんじゃないか…」
自宅にいながら診察を受けられるオンライン診療。その利便性の高さから利用者が急増していますが、一方で「法的な安全性」について不安を感じている方も少なくありません。特に、デリケートな悩みを抱える方にとって、利用するサービスが信頼できるものかどうかは死活問題です。
結論から申し上げますと、適切な要件を満たしたオンライン診療は、日本の医療法および厚生労働省の指針に基づいた、完全に合法かつ正当な医療行為です。
この記事では、医療制度に詳しい医師が、オンライン診療の法的な位置付けと、安全なサービスを見分けるための具体的なポイントを、厚生労働省のガイドラインに基づいて分かりやすく解説します。
1. オンライン診療の法的根拠|なぜ「合法」と言えるのか
かつて、日本の医療は「医師と患者が対面で行うこと」が原則とされていました(医師法第20条)。しかし、情報通信技術の進歩と社会情勢の変化に伴い、この解釈は大きく変わりました。
厚生労働省による「解禁」の歴史
大きな転換点となったのは、2018年に厚生労働省が策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」です。この指針により、一定の条件下であれば、情報通信機器を用いた診療が正式に認められるようになりました。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年には初診からのオンライン診療が時限的に解禁され、その後、恒久化に向けた法整備が進められました。現在では、多くの疾患において、初診からオンラインでの受診が可能となっています。
「無診察治療」との決定的な違い
ここで注意が必要なのは、オンライン診療と、違法な「無診察治療」の違いです。
- オンライン診療(合法): リアルタイムのビデオ通話などを通じて、医師が患者の顔色や状態を確認し、問診を行った上で診断・処方を行う行為。
- 無診察治療(違法): 医師が患者の状態を直接(対面または映像で)確認せず、メールやチャットのみのやり取りだけで薬を処方する行為。
DMMオンラインクリニックなどの正規サービスは、必ずビデオ通話による医師の診察が行われるため、法的に適正な「診療」にあたります。
2. 安全なオンライン診療サービスの3つの条件
では、数あるサービスの中で、法的に安全で信頼できるクリニックを見分けるにはどうすればよいのでしょうか。厚生労働省のガイドラインに基づき、チェックすべき3つのポイントを紹介します。
① 医療機関の実態が明記されているか
ウェブサイト上に、運営元の企業名だけでなく、実際に診療を行う「医療機関名(クリニック名)」、「管理医師名」、「医療機関の所在地」が明記されているかを確認してください。
これらが不明確なサイトは、医療法に基づく届出を行っていない違法業者の可能性があります。
② ビデオ通話による診察が必須となっているか
前述の通り、チャットやアンケートのみで薬が処方されるサービスは、医師法違反の疑いがあります。必ず医師と顔を合わせて(画面越しに)話すプロセスが含まれていることが、安全性の証です。
③ 薬の入手ルートが透明か
処方される薬が、国内の正規医薬品卸から仕入れた「国内承認薬」であるか、医師が個人輸入した「未承認薬」であるかが明記されていることも重要です。
特にED治療薬などの場合、正規のオンライン診療では、患者が希望すれば国内承認薬を選択できる仕組みになっています。
3. 個人輸入代行サイトとの混同に注意
オンライン診療と最も混同されやすく、かつ危険なのが「個人輸入代行サイト」です。
| 比較項目 | 正規のオンライン診療 | 個人輸入代行サイト |
|---|---|---|
| 医師の診察 | あり(ビデオ通話) | なし |
| 薬の安全性 | 医師が管理・処方 | 偽造品の可能性大(約4割) |
| 法的保護 | 医薬品副作用被害救済制度の対象 | 対象外(自己責任) |
「通販感覚で買える」という点では似ていますが、その実態は天と地ほどの差があります。自分の体を守るためにも、必ず「医師の診察」があるサービスを選んでください。
まとめ:正しい知識で、安全な医療へのアクセスを
オンライン診療は、決して怪しい「抜け道」ではなく、国が認めた正規の医療提供体制の一つです。忙しい現代人にとって、時間や場所の制約を超えて適切な医療を受けられることは、大きなメリットと言えるでしょう。
法的な仕組みと安全なサービスの選び方を正しく理解し、賢く活用することで、あなたの健康と生活の質を守ってください。

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