別居を切り出されたら?離婚回避のための対処法と法的リスクを弁護士が解説
夫から突然「距離を置きたい」「別居したい」と言われ、どうすればいいか分からずパニックになっていませんか?
「少し離れれば関係が良くなるかも」と安易に別居に応じるのは危険です。実は、別居は離婚へのカウントダウンになりかねない重大な法的リスクを孕んでいます。
この記事では、離婚問題に詳しい弁護士監修のもと、別居を切り出された時の正しい対処法と、知っておくべき法的リスクについて解説します。
なぜ「とりあえず別居」は危険なのか?3つの法的リスク
感情的に辛い状況から逃れるために別居を選ぶことは、法的には「自ら不利な状況を作る」ことになりかねません。
1. 「婚姻関係の破綻」とみなされやすくなる
裁判所が離婚を認めるかどうかの判断基準の一つに「長期間の別居」があります。一般的に、3年〜5年程度の別居期間があると、夫婦関係は修復不可能(破綻している)と判断され、離婚が認められやすくなります。
つまり、別居期間が長引けば長引くほど、あなたが離婚を拒否しても、裁判で離婚が成立してしまう可能性が高まるのです。
2. 「同居義務違反」を問われる可能性がある
民法752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。正当な理由なく一方的に家を出たり、相手を追い出したりすることは、この「同居義務」に違反する行為(悪意の遺棄)とみなされ、慰謝料請求の対象になる可能性があります。
3. 修復の機会が物理的に失われる
別居すると、顔を合わせる機会や会話が激減します。相手の気持ちの変化に気づくことも、関係改善のためのアプローチをすることも難しくなり、心の距離もますます離れてしまいます。
別居を切り出された時の正しい対処法
では、夫から別居を提案された時、具体的にどう対応すればよいのでしょうか。
1. 即答せず、まずは冷静に理由を聞く
その場で「はい」とも「いいえ」とも言わず、「突然で驚いているから、少し考えさせてほしい」と伝えましょう。そして、なぜ別居したいのか、その理由を冷静に聞き出します。
2. 「修復したいから同居を続けたい」と明確に伝える
あなたの意思をはっきりと伝えることが重要です。「私はあなたとやり直したいと思っている。だから、別居はしたくない」と伝えましょう。別居に同意してしまうと、後々「合意の上での別居だった」と主張され、不利になる可能性があります。
3. 「家庭内別居(冷却期間)」を提案する
夫がどうしても距離を置きたいと譲らない場合は、妥協案として「家庭内別居」を提案します。「1ヶ月間、お互いに干渉せず、食事も別でいいから、この家で過ごそう」と提案し、同居の実態を維持することが最優先です。
万が一、別居になってしまったら?「婚姻費用」を請求しよう
もし夫が強引に家を出て行ってしまった場合でも、諦めてはいけません。すぐに「婚姻費用(生活費)」の分担請求を行いましょう。
夫婦には、別居中であっても、お互いの生活レベルを同等に保つ義務(生活保持義務)があります。収入の多い側(通常は夫)は、少ない側(妻)に対して生活費を支払わなければなりません。
婚姻費用の請求は、以下の効果が期待できます。
- 経済的な安定の確保: 別居中の生活を守ることができます。
- 夫へのプレッシャー: 二重生活の経済的負担を夫に実感させることで、安易な別居継続を防ぎ、話し合いや同居再開への動機付けになります。
婚姻費用の金額は、夫婦双方の収入や子供の人数・年齢によって算定表に基づいて決まります。請求は「内容証明郵便」で行うか、家庭裁判所に「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てるのが一般的です。
まとめ:別居は修復への遠回り。同居維持が最善の策
別居は、一度始まると解消するのが難しく、離婚への道を加速させるリスクが高い行為です。修復を望むなら、どんなに辛くても同居を維持し、同じ屋根の下で解決の糸口を探ることが重要です。
もし夫が強硬に別居を進めようとしている場合は、早めに弁護士に相談し、法的な観点からのアドバイスを受けることを強くお勧めします。


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