パートナーにEDの悩みをどう伝える?二人で乗り越えるための伝え方と心構え【専門家監修】

パートナーシップの悩み

パートナーにEDの悩みをどう伝える?二人で乗り越えるための伝え方と心構え【専門家監修】

ED(勃起不全)の悩みは、ご自身の問題であると同時に、大切なパートナーとの関係にも深く関わる、非常にデリケートな問題です。「どう伝えればいいのか分からない」「相手を傷つけてしまうのではないか」「関係が壊れてしまったらどうしよう」——。そうした不安から、一人で抱え込んでしまう方は少なくありません。

しかし、勇気を出して悩みを共有することは、問題を解決し、二人の絆をさらに深めるための最も重要な第一歩です。この記事では、認定夫婦カウンセラーの視点から、パートナーにEDの悩みを打ち明け、二人で協力して乗り越えていくための具体的なステップと心構えを解説します。

この記事を書いた人
  • ケン

    自身もAGAや医薬品の情報に悩んだ経験から、信頼できる医療情報だけを発信するブログを運営中。一次情報に基づき、読者の「あんしん」に繋がる情報を届けます。


この記事の監修者
  • 有馬 京子(社会学者・認定夫婦カウンセラー)

    家族社会学、ジェンダー論を専門とし、現代のカップルが直面する課題を社会構造の視点から分析。著書に『見えない家事とすれ違う夫婦』がある。内閣府の男女共同参画白書の作成にも有識者として参加し、年間200組以上のカウンセリングを通じて、多くのカップルの関係改善を支援している。

なぜ打ち明けるのが難しいのか?男性が抱える心理的プレッシャー

悩みを打ち明けられない背景には、男性が抱えがちな特有の心理があります。まず、この点について理解し、ご自身の気持ちを整理することから始めましょう。

  • 「男らしさ」というプレッシャー: 社会的に「男性は性的に常に強くあるべきだ」という無言のプレッシャーが存在し、それが「できない自分」を認めることへの強い抵抗感を生み出します。
  • パートナーを失望させたくないという恐怖:「がっかりさせてしまうのではないか」「愛情がないと誤解されるのではないか」という恐怖が、口を閉ざさせてしまいます。
  • 問題の深刻化への懸念: 話題にすることで、かえって問題が大きくなり、関係がぎくしゃくしてしまうことへの恐れも、打ち明けることをためらわせる大きな原因です。

これらの感情は、決してあなた一人が感じている特別なものではありません。多くの男性が同じように感じている、ごく自然な心理反応なのです。

打ち明ける前に準備すべき3つのこと(心構え)

衝動的に話すのではなく、少し準備をすることで、会話はずっとスムーズに進みます。以下の3つのポイントを心に留めておきましょう。

  1. 自分を責めない: 親記事でも解説した通り、特にストレスによるEDは意志の弱さの問題ではありません。まずは「これは自分のせいではない、身体の反応なのだ」と受け入れることが大切です。
  2. これは「二人の問題」と捉える: EDは個人の問題であると同時に、二人のセクシャルな関係性における課題でもあります。「自分が治すべき問題」ではなく「二人が協力して向き合う課題」と捉え直すことで、パートナーを対話に巻き込みやすくなります。
  3. 知識を武器にする: なぜEDが起きるのか、どのような対策があるのか、基本的な知識を持っておくことで、冷静に状況を説明でき、パートナーの不安を和らげることができます。

具体的な伝え方ステップガイド

準備ができたら、いよいよ伝えるステップです。場所、タイミング、そして言葉選びが成功の鍵を握ります。

Step1:場所とタイミングを選ぶ

避けるべき状況: ベッドの中や、性行為の直前・直後。これらのタイミングはプレッシャーが最も高まり、感情的な会話になりがちです。
最適な状況: 二人がリラックスして、時間に余裕があるとき。例えば、週末の昼下がり、リビングのソファでくつろいでいる時などが理想的です。

Step2:切り出し方と言葉を選ぶ

非難がましい口調や、深刻すぎる雰囲気は避けましょう。「ちょっと大事な話があるんだけど」と穏やかに切り出すのがポイントです。

【具体的な言葉選びの例】

「最近、ちょっと身体のことで悩んでいることがあって。君をがっかりさせたくなくてずっと言えなかったんだけど、実は、行為の途中でうまくいかないことがあるんだ。君への気持ちは何も変わらないし、むしろ大切に思っているからこそ、正直に話したいと思った。これは僕だけの問題じゃなくて、二人の問題として一緒に向き合ってもらえたら、すごく心強いな」

伝える際の重要ポイント:

  • 「私」を主語にする(Iメッセージ):「君は~」ではなく「私は~と感じる」と伝えることで、相手を責めているような印象を避けます。
  • 愛情は変わらないことを明確に伝える: パートナーが最も不安に思うのは「愛情がなくなったのでは?」という点です。気持ちは変わらないことを最初に伝えましょう。
  • 協力をお願いする姿勢:「こうしてほしい」と要求するのではなく、「一緒に考えてほしい」と協力をお願いする形で締めくくります。

パートナーができるサポートとは?

あなたが勇気を出して打ち明けた後、パートナー側にはどのようなサポートが求められるのでしょうか。この部分を二人で一緒に読むのも良いでしょう。

  • まずは、ただ聞くこと: 彼の勇気を認め、評価やアドバイスをせず、まずは「話してくれてありがとう」と受け止める姿勢が大切です。
  • プレッシャーを減らすこと: 性的な親密さは、挿入だけではありません。キスやハグ、マッサージなど、挿入を目的としないスキンシップを増やすことで、「成功させなければ」というプレッシャーから二人を解放します。
  • 一緒に情報を集めること: 医療機関のウェブサイトを一緒に見たり、この記事のような信頼できる情報を共有したりすることで、問題を「二人の共同プロジェクト」にすることができます。

まとめ:対話は、最高の処方箋

EDの悩みをパートナーに打ち明けることは、大きな勇気が必要です。しかし、その一歩は、問題を解決へと導くだけでなく、お互いへの理解と信頼を深め、二人の関係性をより成熟させるための、またとない機会にもなり得ます。

一人で抱え込まず、最も信頼できるパートナーと手を取り合ってみてください。その対話こそが、どんな薬よりも効果的な、最高の処方箋になるかもしれません。

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