【2025年版】代謝を上げるサプリの賢い選び方｜安全性と科学的根拠で選ぶ専門家推奨の3つの基準

この記事は、以下の専門家の監修のもとで作成されています。
赤坂 健司（あかさか けんじ）
予防医療・ヘルスケア情報リテラシー研究者 / 博士（医学）
専門：予防医療、健康食品の科学的評価（特に機能性表示食品制度）、消費者向けヘルスケア情報リテラシー教育
著書『サプリメントと正しく付き合うための科学』（幻冬舎メディカル）

「代謝を上げるサプリ」は、正しく選べばあなたの健康的な毎日を力強くサポートします。しかし、情報が溢れる中で本当に信頼できる製品を見つけるのは至難の業です。この記事では、2024年の紅麹問題を教訓に、広告に惑わされず「安全性」と「科学的根拠」に基づいたサプリを選ぶための、専門家が実践する3つの基準を分かりやすく解説します。

• この記事でわかること
  • なぜ多くの人がサプリ選びに失敗するのか、その根本原因
  • 安全性と科学的根拠に基づいた、本当に信頼できるサプリを見抜く3つの基準
  • 専門家が注目する成分とその客観的な評価

はじめに：なぜ「代謝を上げるサプリ」選びはこんなにも難しいのか？

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情報過多と誇大広告、そして安全性への不安が、消費者にとって最適なサプリ選びを困難にしています。

「最近、昔と同じように食べているのに太りやすくなった…」と感じ、サプリメントを検討し始めたものの、あまりの情報量の多さに圧倒されてはいないでしょうか。

インターネット上には無数の製品が並び、その多くが「飲むだけで脂肪燃焼！」といった魅力的な言葉で私たちを誘います。しかし、どのサイトを見ても似たような商品の紹介ばかりで、結局どれを信じれば良いのか分からなくなってしまう。これは、サプリメント選びをしようとした多くの方が経験する「判断疲労」です。

さらに、2024年に発生した紅麹サプリメントによる健康被害問題は、私たちの心に大きな影を落としました。
この一件は市場全体に大きな影響を与え、矢野経済研究所の調査によれば、2024年度の健康食品市場は紅麹問題が響き、縮小に転じると予測されています。
「手軽に健康を手に入れたい」という願いと、「健康を害するようなことは絶対に避けたい」という不安。このジレンマの中で、多くの消費者が立ち往生しているのが現状なのです。

大前提：サプリメントは魔法の弾丸ではない。まずは「基礎代謝」の科学を正しく知ろう

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1日のエネルギー消費の約6割を占める基礎代謝。その仕組みを理解し、サプリはあくまで補助的役割と認識することが重要です。

サプリメントの話を始める前に、まず大前提としてご理解いただきたいのが「代謝」の仕組みです。サプリメントは、この仕組みを根底から覆す「魔法の弾丸」ではありません。

私たちの体が1日に消費するエネルギーは、大きく分けて3つの要素で構成されています。

1日の総エネルギー消費の内訳は、主に以下の3つに分類されます。

1. 基礎代謝（約60%）: 心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を保ったりと、生命を維持するために無意識に使われるエネルギーです。
2. 身体活動量（約30%）: 運動や家事など、体を動かすことで消費されるエネルギーです。
3. 食事誘発性熱産生（約10%）: 食事を消化・吸収する際に消費されるエネルギーです。

この中で最も大きな割合を占めるのが「基礎代謝」です。サプリメントが主にアプローチしようとするのが、この基礎代謝や運動時のエネルギー消費のサポートなのです。

では、基礎代謝は何によって決まるのでしょうか。
主に、筋肉の量と年齢が関係しています。一般的にエネルギー消費の多い筋肉の量が多ければ基礎代謝は高くなる傾向にあり、そして残念ながら、基礎代謝量は10代後半をピークに、加齢とともに徐々に低下していくことが知られています。

「代謝を上げるサプリ」とは、この原則を理解した上で、あくまで健康的な生活の「補助」として活用するもの。この認識を持つことが、賢いサプリ選びのスタートラインです。

【本題】専門家が実践する「代謝を上げるサプリ」を見抜く3つのモノサシ

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①安全性の証「GMPマーク」、②国の保証ではない「機能性表示食品」の正しい理解、③効果の信頼性を示す「エビデンスの質」が判断基準です。

情報の洪水の中から、本当に信頼できる一粒を見つけ出すために。私が普段から実践している、いわば専門家としての「モノサシ」を3つ、皆さんにお伝えします。この3つの基準さえ知っていれば、広告やイメージに惑わされることは格段に減るはずです。

モノサシ①【安全性】：「機能性表示食品」という言葉だけで安心しない。見るべきは「GMPマーク」

多くの人が「機能性表示食品」と書かれていると、それだけで安全だと考えがちです。しかし、まず確認してほしいのは、それよりもっと重要な「GMPマーク」の有無です。

✍️ 筆者（専門家）の経験からの一言アドバイス

【結論】: 機能性表示食品を選ぶ際、効果の文言ばかりに注目しますが、本当に見るべきはパッケージの裏にある「GMPマーク」です。このマークがあるかどうかは、その製品が医薬品レベルの厳しい品質管理基準で作られているかを示す、最も分かりやすい安全性の指標なのです。

実は、2024年の紅麹問題の後、私の元には「自分が飲んでいるサプリは大丈夫か」という相談が殺到しました。その際、私が安全性の一次判断として確認したのが、このGMP認証の有無でした。残念ながら、健康被害が報告された製品群には、この基準を満たしていないものが含まれていたのです。効果を語る前に、まず安全性の土台がなければ意味がない。この一件は、我々にその当然の事実を改めて突きつけました。

GMP（Good Manufacturing Practice：適正製造規範）とは、原料の受け入れから製造、出荷まで全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準のことです。医薬品では必須とされていますが、健康食品では任意です。だからこそ、自主的にこの厳しい基準をクリアしている製品は、安全への意識が高い企業であると判断できます。

モノサシ②【制度理解】：国の“お墨付き”ではない。「機能性表示食品」の仕組みと限界

次に重要なのが、「機能性表示食品」という制度を正しく理解することです。これは、国の審査を経て許可される「特定保健用食品（トクホ）」とは根本的に異なります。

「特定保健用食品（トクホ）」と「機能性表示食品」の最も大きな違いは、国の審査があるかどうかです。トクホは、製品ごとに国が有効性や安全性を個別に審査し、許可を与えます。一方、機能性表示食品は、事業者が自らの責任で科学的根拠を国に届け出る制度です。

機能性表示食品は、あくまで事業者の責任において科学的根拠を消費者庁に届け出る制度であり、国がその効果や安全性を個別に保証したものではありません。製品のパッケージには、必ず以下のような注意書きが表示されています。

本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。

つまり、表示されている機能性や安全性の最終的な責任は、国ではなく事業者が負う、ということです。この「自己責任」の原則を理解することが、消費者にとっても極めて重要になります。

モノサシ③【科学的根拠】：その効果、どれくらい確か？「エビデンスの質」を見極める

「科学的根拠あり」とされていても、その信頼性のレベルは様々です。より確かな効果を期待するのであれば、その根拠の「質」にまで目を向ける必要があります。

科学的根拠の信頼性にはレベルがあり、一般的に信頼性が高いとされる順に以下のようになります。

1. メタアナリシス／システマティックレビュー: 複数の質の高い研究結果を統合・分析したもの。
2. ランダム化比較試験（RCT）: 効果を比較するために、薬を飲むグループと偽薬を飲むグループをランダムに分けて検証する試験。
3. その他の臨床試験
4. 基礎研究・専門家の意見など

ある成分について、このような質の高い研究報告が複数存在する場合、その機能性の信頼度はより高いと判断できます。

専門家のモノサシで評価する「代謝サポート」注目の機能性関与成分

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複数の臨床試験で腹部脂肪の減少が報告されるブラックジンジャーや茶テカキンは、エビデンスレベルが比較的高い成分と言えます。

では、先ほどご紹介した3つのモノサシを使って、現在市場で注目されている機能性関与成分を評価してみましょう。ここでは商品の優劣をつけるのではなく、あくまで「選び方の考え方」を実践するための例としてご覧ください。

エビデンスレベル◎：ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン

タイを原産とするショウガ科の植物由来の成分です。「日常活動時のエネルギー代謝において脂肪を消費しやすくする」といった機能性が報告されています。

この成分の強みは、質の高い臨床試験（RCT）の報告が存在することです。
例えば、肥満気味の日本人を対象とした研究では、12週間の摂取により偽薬（プラセボ）を飲んだグループと比較して、腹部の内臓脂肪と皮下脂肪が有意に減少したことが学術誌で報告されています。

エビデンスレベル◎：茶カテキン

緑茶に含まれるポリフェノールの一種で、「BMIが高めの方の内臓脂肪を減らす機能」が報告されています。

茶カテキンは、エビデンスの蓄積が豊富な成分の一つです。
複数の質の高いRCTの結果を統合したメタアナリシスにおいて、茶カテキンを1日あたり約540mg、12週間継続して摂取することで、内臓脂肪面積が有意に低減することが確認されています。作用の仕組みについても研究が進んでいる点も、信頼性を高める要素です。

その他の注目成分（L-カルニチン、カプサイシン類など）

その他にも、脂肪燃焼効果が期待される成分として、L-カルニチンや唐辛子に含まれるカプサイシン類などがあります。これらの成分も基礎的な研究は行われていますが、現時点ではブラックジンジャーや茶カテキンのように、日本人を対象とした大規模なメタアナリシスや複数のRCTの報告は限定的です。

専門家のモノサシで評価した主要機能性関与成分

安全な利用のために知っておくべきこと

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天然成分でも過剰摂取や医薬品との相互作用リスクは存在します。利用前にかかりつけ医や薬剤師に相談することが賢明です。

最後に、サプリメントを安全に利用するための重要な注意点をお伝えします。

日本医師会も指摘しているように、天然成分だからといって安全とは限りません。
特定の成分をサプリメントで濃縮して摂取する場合、通常の食事では起こり得ない過剰摂取のリスクや、アレルギー反応、服用中の医薬品との予期せぬ相互作用（副作用）を引き起こす可能性があります。

特に、何らかの病気で治療中の方や、医薬品を服用している方は、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。その際は、「お薬手帳」と一緒に、利用を検討しているサプリメントのパッケージを持参すると、より正確なアドバイスが受けられます。

「代謝を上げるサプリ」に関するよくある質問（FAQ）

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サプリだけで痩せることはなく、運動や食事が基本です。ドラッグストアでも購入可能ですが、選び方の基準は同じです。

• Q1. 結局、サプリを飲めば運動しなくても痩せますか？
  A1. いいえ、サプリメントだけで痩せることは科学的にあり得ません。大原則は「消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ること」です。サプリメントはあくまで運動やバランスの取れた食事という土台の上で、その効果を「補助」する役割とご理解ください。
• Q2. ドラッグストアで買えるおすすめはありますか？
  A2. 多くの機能性表示食品はドラッグストアでも購入可能です。特定の商品をおすすめするのではなく、この記事でご紹介した「GMPマークの有無」「機能性関与成分とその根拠」といったモノサシを使って、ご自身で製品の裏面表示を確認して選ぶことをお勧めします。
• Q3. どのくらいの期間続ければ効果が出ますか？
  A3. 人の体質や生活習慣によって異なりますが、多くの臨床試験は「12週間（約3ヶ月）」を目安に有効性を評価しています。機能性表示食品は医薬品ではないため、即効性を期待するのではなく、適切な期間、継続して利用することが前提となります。
• Q4. トクホ（特定保健用食品）とはどう違うのですか？
  A4. 最も大きな違いは、国の審査の有無です。トクホは、製品ごとに有効性や安全性を国が個別に審査し、許可したものです。一方、機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠を届け出る制度であり、国の個別審査はありません。

まとめ：賢い消費者になるための第一歩

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サプリ選びは、人気や広告ではなく「安全性（GMPマーク）」「制度の正しい理解」「科学的根拠の質」というモノサシで行いましょう。

情報が溢れる現代において、自分と家族の健康を守るためには、私たち消費者自身が賢くなる必要があります。サプリメント選びは、そのための絶好のトレーニングと言えるかもしれません。

もう一度、今日お伝えした3つのチェックリストを振り返ってみましょう。

• 本日のまとめ（3つのチェックリスト）
  1. 安全性の証、「GMPマーク」はありますか？
  2. 国の保証ではないことを理解していますか？
  3. その効果の根拠は信頼できますか？

人気ランキングや魅力的な広告文句に飛びつく前に、一呼吸おいて、この3つのモノサシを思い出してください。

あなたの次のアクション

• まずは今、気になっている製品のパッケージ裏面や、公式サイトの「品質へのこだわり」といったページで「GMPマーク」があるかを確認してみましょう。それが、賢いサプリ選びの最も重要な第一歩です。

この記事が、あなたの健やかで賢明な選択の一助となることを心から願っています。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の製品の効果を保証するものではありません。サプリメントの利用に際しては、ご自身の体調を考慮し、必要に応じて医師や薬剤師にご相談ください。

参考文献

• 健康食品市場に関する調査を実施（2024年） – 株式会社矢野経済研究所, 2024年5月22日
• エネルギー消費量の測定 – 健康長寿ネット, 2023年5月24日
• 基礎代謝とダイエットの関係は？基礎代謝を効率よく上げる方法5つ – スポーツクラブJOYFIT, 2023年10月27日
• 「機能性表示食品」って何？ – 消費者庁, 参照日: 2025年8月23日
• ブラックジンジャーとは？脂肪燃焼の強い味方！【管理栄養士監修】 – 株式会社メタボリック, 参照日: 2025年8月23日
• 茶カテキンの継続摂取が内臓脂肪に及ぼす機能を検証 – 花王株式会社, 2018年11月8日
• 「健康食品」・サプリメントについて – 日本医師会, 2023年4月1日