L-シトルリンとは？期待できる効果と摂取量の目安を専門家が解説

精力サプリや健康食品の成分として「L-シトルリン」という名前を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、具体的にどのような成分で、私たちの体にどういった働きをするのか、正確に理解している方は少ないかもしれません。

この記事では、L-シトルリンの基本的な情報から、科学的に期待されている効果、そして1日あたりの摂取目安量まで、専門家の視点から分かりやすく解説します。

成分のイメージだけでなく、その本質を知ることが、賢い製品選びの第一歩です。

この記事を書いた人

ケン

自身もAGAや医薬品の情報に悩んだ経験から、信頼できる医療情報だけを発信するブログを運営中。一次情報に基づき、読者の「あんしん」に繋がる情報を届けます。

この記事の監修者

高橋渉（薬剤師・ヘルスケアアナリスト）

大手ドラッグストアで10年間、サプリメント相談カウンターの責任者を務める。ヘルスケア専門メディアで、機能性表示食品に関する規制動向の解説コラムを連載。企業向け健康経営セミナーの講師。

L-シトルリンとは？スイカから発見されたアミノ酸

L-シトルリンは、私たちの体内で生成されるアミノ酸の一種で、「遊離アミノ酸」として知られています。これは、タンパク質を構成する成分として使われるのではなく、血液や細胞内を単独で巡り、さまざまな生命活動に関わるという特徴を持っています。

1930年に日本の研究者によってスイカから発見された成分であり、特にスイカの皮に近い部分に豊富に含まれています。その他、メロンやきゅうりなどのウリ科の植物にも含まれていますが、食事だけで十分な量を摂取するのは難しい成分の一つです。

L-シトルリンが注目される最大の理由は、体内で「L-アルギニン」という別のアミノ酸に変換され、その過程で一酸化窒素（NO）の生成を促す点にあります。この一酸化窒素は、血管を拡張させ、血流をスムーズにする働きを持つため、以下のような効果が期待されています。

一酸化窒素（NO）が血管を柔らかくし、広げることで、全身の血流が改善します。これにより、血圧の上昇を抑えたり、動脈硬化を予防したりする効果が期待できます。健康な血管を維持することは、生活習慣病の予防にも繋がる重要な要素です。

運動中に筋肉が必要とする酸素や栄養素は、血液によって運ばれます。L-シトルリンの摂取によって血流が促進されると、筋肉へのエネルギー供給が効率化され、持久力の向上や疲労感の軽減に繋がる可能性があります。多くのアスリート向けサプリメントにL-シトルリンが配合されているのは、このためです。

男性の勃起は、陰茎の血管が拡張し、大量の血液が流れ込むことで起こる生理現象です。L-シトルリンから生成される一酸化窒素（NO）による血流促進作用は、このプロセスをサポートし、男性の活力維持に貢献することが期待されています。

L-シトルリンの効果を期待する場合、どのくらいの量を摂取すれば良いのでしょうか。研究によって推奨量は異なりますが、一つの目安として覚えておくと良いでしょう。

血流改善や運動パフォーマンス向上を目的とした研究では、1日あたり800mg〜2,000mg（0.8g〜2g）のL-シトルリンを摂取するケースが多く見られます。健康食品やサプリメントを選ぶ際には、この量を一つの基準として、成分含有量を確認することが重要です。

L-シトルリンは、体内で生成されるアミノ酸であり、適切に摂取する限りにおいては安全性の高い成分とされています。ただし、一度に大量に摂取すると、人によってはお腹が緩くなるなどの胃腸の不快感を引き起こす可能性があります。

また、何らかの疾患で治療中の方や、医薬品を服用している方は、サプリメントを摂取する前に必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

L-シトルリンは、一酸化窒素（NO）の生成を通じて血流を促進し、私たちの健康や活力に多方面から貢献する可能性を秘めたアミノ酸です。

重要なのは、広告のイメージだけで製品を選ぶのではなく、L-シトルリンが「なぜ」「どのように」体に良い影響を与えるのかを正しく理解することです。そして、製品を選ぶ際には、期待する効果に見合った十分な「含有量」が含まれているかを確認する習慣をつけましょう。

成分に関する正しい知識を持つことが、あなた自身の健康を守り、賢い選択をするための最も確実な方法です。