50代の性欲減退とEDの違いとは？男性更年期障害の可能性を専門医が解説

「最近、昔のように性的な興味が湧かなくなった…」「妻との関係も気になるし、これってEDなのだろうか？」50代を迎え、このような「性欲（リビドー）の低下」に悩む男性は少なくありません。この悩みをED（勃起不全）と混同しがちですが、実はこの二つは原因が異なる場合があり、背景に「男性更年期障害（LOH症候群）」が隠れている可能性も考えられます。

この記事では、「性欲がわかない」という悩みと「勃起しない」という悩みの違いを明確にし、その原因となりうる男性更年-期障害について、専門医の立場から分かりやすく解説します。ご自身の状態を正しく理解し、適切な対策への第一歩を踏み出すための情報を提供します。

「性欲減退」と「ED（勃起不全）」の根本的な違い

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「性欲減退」は“やる気”の問題、「ED」は“機能”の問題です。脳の性的興奮がなければ勃起は起こりません。

この二つの症状は密接に関連していますが、原因の出発点が異なります。この違いを理解することが、適切な対策の第一歩となります。

• 性欲減退（リビドー低下）
  性的関心や欲求そのものが低下している状態です。例えるなら、車の「エンジンをかけよう」という気持ち自体が起きない状態です。
• ED（勃起不全）
  性的欲求はあるものの、身体的な問題（血管の老化など）で勃起しない、または維持できない状態です。例えるなら、「エンジンはかけたいのに、故障していてかからない」状態です。

勃起は、まず脳が性的興奮を感じ、その指令が神経を通じて陰茎に伝わることで起こります。したがって、そもそも性欲がなければ、脳からの指令が出ないため勃起には至りません。一方で、性欲があっても、血管などの機能に問題があればEDとなります。50代では、この両方が同時に起こることも珍しくありません。

50代の性欲減退、その背景にある「男性更年期障害（LOH症候群）」とは？

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男性更年期障害は、男性ホルモン（テストステロン）の減少が原因で、性欲減退やED、さらには心身の不調を引き起こす状態です。

女性の更年期障害はよく知られていますが、男性にも同様の状態が存在します。これを「男性更年期障害（LOH症候群：加齢男性性腺機能低下症候群）」と呼びます。40代後半から50代にかけて、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量が減少することが主な原因です。

テストステロンは、単に性機能に関わるだけでなく、筋肉や骨の維持、気力や判断力の源となる、男性の心身の健康を支える重要なホルモンです。このテストステロンが減少すると、以下のような多様な症状が現れます。

このように、50代で感じる「性欲の低下」や「ED」は、単独の問題ではなく、男性更年期障害という、より大きな枠組みの一症状である可能性が考えられるのです。

もしかして…？男性更年期障害のセルフチェック

👉 このパートをまとめると！
簡単な質問票で、男性更年期障害の可能性をチェックできます。当てはまる項目が多い場合は、専門医への相談を検討しましょう。

以下の質問票（AMSスコア）は、男性更年期障害のスクリーニングによく用いられるものです。各項目について、ご自身の状態に最も近い点数を選び、合計点を出してみてください。

このセルフチェックはあくまで目安です。合計点が高かった場合は、一人で悩まず、泌尿器科やメンズヘルスクリニックなどの専門医療機関を受診することをおすすめします。

性欲減退とEDへの対策と治療法

👉 このパートをまとめると！
生活習慣の改善が基本です。症状が強い場合は、ホルモン補充療法やED治療薬の使用を専門医と相談します。

男性更年期障害による性欲減退やEDに対しては、いくつかの対策や治療法があります。

1. 生活習慣の改善（セルフケア）

テストステロンの分泌を促し、心身の健康を保つためには、まず生活習慣の見直しが基本となります。

• 適度な運動: 特に筋力トレーニングは、テストステロンの分泌を高める効果が期待できます。
• バランスの取れた食事: タンパク質や亜鉛、ビタミンDなどを意識的に摂取しましょう。
• 質の良い睡眠: 睡眠不足はテストステロンを低下させる大きな要因です。
• ストレス管理: 趣味やリラックスできる時間を作り、ストレスを溜めない工夫が大切です。

2. ホルモン補充療法

セルフチェックの点数が高く、血液検査でテストステロンの低下が確認された場合、専門医の判断で「テストステロン補充療法」が行われることがあります。注射や塗り薬で不足しているテストステロンを補う治療法で、性欲減退を含む心身の様々な症状の改善が期待できます。ただし、副作用のリスクもあるため、必ず専門医の管理下で行う必要があります。

3. ED治療薬の活用

性欲減退とEDが併発している場合、ホルモン補充療法で性欲が回復しても、ED症状が残ることがあります。その場合は、ED治療薬（PDE5阻害薬）を併用することで、勃起機能を直接サポートし、自信を取り戻す助けとなります。治療法については、ご自身の症状や希望を医師に伝え、相談しながら進めていくことが重要です。

まとめ：50代の性の悩みは、正しく理解することから始めよう

50代で感じる「性欲の低下」と「ED」は、似ているようで異なる側面を持つ悩みです。その背景には、男性更年期障害が関わっている可能性も十分に考えられます。

• 「性欲減退」は“やる気”の問題、「ED」は“機能”の問題。
• 両方の症状がある場合、男性ホルモン（テストステロン）の低下による男性更年期障害の可能性がある。
• セルフチェックで気になる点があれば、泌尿器科や専門クリニックへの相談が解決への近道。
• 治療法は生活習慣の改善から、ホルモン補充療法、ED治療薬まで様々。

大切なのは、一人で抱え込まず、ご自身の状態を正しく知ることです。この記事が、あなたが前向きな毎日を取り戻すための一助となれば幸いです。