iHerb(アイハーブ)のサプリは危険?安全な選び方を専門家が解説【個人輸入のリスクと注意点】
(この記事は、消費生活科学アドバイザー/博士(公衆衛生学)の高橋 健介が監修しています。)
(本記事で解説する内容は、海外サプリメントの個人輸入に伴う一般的なリスクに関する情報提供を目的としており、特定の製品の使用を推奨または非推奨するものではありません。体調に異変を感じた場合は、速やかに医療機関を受診してください。)
品揃えの豊富さと価格の安さから、多くの方が利用している海外のECサイト「iHerb(アイハーブ)」。しかし、その手軽さの裏には、日本の法律や安全基準が適用されない「個人輸入」ならではの見過ごせないリスクが潜んでいます。
この記事では、なぜiHerbの製品が安いのかという仕組みから、知っておくべき重大なリスク、そして安全に利用するために専門家が実践している具体的なチェックポイントまで、詳しく解説します。
なぜiHerbは安いの?個人輸入の仕組みとメリット
iHerbの魅力は、なんといってもその価格と品揃えです。日本の店舗やECサイトでは見かけないような製品が、驚くほど安価に手に入ることがあります。
その理由は、iHerbが「個人輸入」という形態をとっているためです。個人輸入とは、海外の販売店から個人が使用する目的で直接製品を購入すること。日本の代理店などを介さないため、中間マージンや国内の流通コストが上乗せされず、結果として安価に購入できるのです。
しかし、この「日本の規制を通らない」という点が、メリットであると同時に、これから解説する重大なリスクの源泉にもなっています。
【本題】iHerbサプリに潜む3つの重大なリスク
手軽で便利なiHerbですが、利用する前に必ず理解しておくべき3つのリスクが存在します。これらを知らないまま利用することは、ご自身の健康を危険に晒すことになりかねません。
リスク1:日本の法律で禁止・規制されている成分が含まれている可能性
海外と日本では、食品や医薬品に関する法規制が大きく異なります。海外では一般的なサプリメントとして販売されている製品でも、日本では医薬品に分類される成分や、安全性の観点から使用が禁止されている成分が含まれている場合があります。
例えば、睡眠改善を謳うサプリに含まれる「メラトニン」や、一部のダイエットサプリに含まれていた「シブトラミン」などは、日本では医師の処方が必要な医薬品成分です。これらを安易に摂取すると、予期せぬ健康被害を引き起こす可能性があります。
リスク2:品質管理基準が日本と異なる
親記事でも解説した通り、製品の安全性を担保する上で「GMP(適正製造規範)」という品質管理基準は非常に重要です。しかし、海外の全てのメーカーが日本のGMPと同等、あるいはそれ以上の基準で製品を製造しているとは限りません。
有効成分の含有量がパッケージの表示と異なっていたり、不純物が混入していたりする可能性もゼロではありません。日本の厳格な品質管理基準をクリアしていない製品が、そのままあなたの手元に届くリスクがあるのです。
リスク3:健康被害が起きても公的な救済制度の対象外
これが最も重要なポイントです。日本国内で正規に販売された医薬品を適正に使用して健康被害が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な制度によって医療費などが給付されます。
しかし、個人輸入したサプリメントで健康被害が起きても、この制度は一切適用されません。治療にかかる費用はすべて自己負担となり、誰にも補償を求めることができないのです。個人輸入は、文字通り「完全な自己責任」の世界であることを、肝に銘じておく必要があります。
それでもiHerbを使いたい!安全なサプリを見抜く5つのチェックリスト
リスクを理解した上で、それでもiHerbを利用したいと考える方もいるでしょう。その場合は、以下の5つのチェックリストを必ず実践し、ご自身の身を守ってください。
- 親記事で学んだ「HFNet」で成分を調べる
これは基本中の基本です。購入したい製品の成分を、国立健康・栄養研究所の「HFNet」で検索し、日本での扱いや危険性に関する情報がないか必ず確認しましょう。 - レビューを鵜呑みにしない
高評価のレビューが多くても、それが必ずしも安全性を保証するものではありません。中には販売促進のための「サクラ」レビューも存在します。特に、劇的な効果を謳うレビューには注意が必要です。 - 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
iHerb内にも、品質管理に定評のあるメーカーは存在します。例えば、「Now Foods」や「Thorne Research」、「California Gold Nutrition」などは、比較的信頼性が高いメーカーとして知られています。メーカーの公式サイトなども確認し、信頼性を判断しましょう。 - アレルギー成分を徹底的に確認する
日本の製品であればアレルギー表示が義務付けられている成分でも、海外製品では表示されていない場合があります。原材料名を隅々まで確認し、ご自身のアレルゲンが含まれていないか、細心の注意を払ってください。 - まずは少量から試す
いきなり大容量の製品を買うのではなく、まずは最も少ない単位の製品を購入し、少量から試してみましょう。体に少しでも異変を感じたら、すぐに使用を中止することが重要です。
まとめ:個人輸入は「自己責任」。リスクを理解した上で賢く利用しよう
iHerbは、日本の市場にはない製品と出会える魅力的なプラットフォームです。しかし、その利用は常に「個人輸入」であり、日本の法的な保護の外にあることを忘れてはいけません。
今回解説した3つの重大なリスクと、5つの安全チェックリストを正しく理解し、実践すること。それが、ご自身の健康を守りながら、海外の製品と賢く付き合っていくための唯一の方法です。
もし少しでも不安を感じるなら、安易に個人輸入に頼るのではなく、まずは日本の保健機能食品制度を正しく理解し、安全性の高い製品を選ぶことから始めましょう。
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