男性更年期障害(LOH症候群)とは?症状・原因・治療法を専門医が解説

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男性更年期障害(LOH症候群)とは?症状・原因・治療法を専門医が解説

「最近、なんだか疲れやすい」「以前のようにやる気が出ない」「性欲が落ちた気がする」…。40代を過ぎて、こうした心身の変化に戸惑いを感じていませんか?それは単なる年齢のせいだけでなく、「男性更年期障害(LOH症候群)」のサインかもしれません。

男性更年期障害は、決して特別な病気ではなく、多くの男性が経験しうる状態です。しかし、一人で抱え込んでしまう方が非常に多いのが現状です。この記事では、メンズヘルスを専門とする医師の監修のもと、男性更年期障害(LOH症候群)の正しい知識(症状・原因・治療法)を分かりやすく解説します。ご自身の状態を客観的に理解し、適切な第一歩を踏み出すためにお役立てください。

この記事を書いた人
  • ケン

    自身もAGAや医薬品の情報に悩んだ経験から、信頼できる医療情報だけを発信するブログを運営中。一次情報に基づき、読者の「あんしん」に繋がる情報を届けます。


この記事の監修者
  • 山田 健介(泌尿器科専門医・医学博士)

    日本泌尿器科学会認定専門医。都内大学病院勤務を経て、現在はメンズヘルス専門クリニックの院長を務める。特に40代以降の男性が抱える活力低下やED(勃起不全)、男性更年期障害(LOH症候群)の治療を専門とする。年間1,000人以上の患者と向き合い、薬物治療だけでなく、根本的な生活習慣の改善指導にも力を入れている。「患者さん自身が正しい知識を持ち、ご自身の健康を選択できるようになること」をモットーに、Webメディアでの情報発信も積極的に行っている。

男性更年期障害(LOH症候群)の主な症状

男性更年期障害の症状は、非常に多岐にわたります。「これくらいは年齢のせいだろう」と見過ごされがちな不調も、実は典型的な症状の一つかもしれません。主に「身体症状」「精神症状」「性機能症状」の3つに分けられます。

症状の分類 具体的な症状の例
身体症状 ・原因不明の疲労感、倦怠感
・筋力の低下、筋肉痛
・ほてり、のぼせ、多汗
・睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に目が覚める)
・頭痛、めまい、耳鳴り
精神症状 ・気分の落ち込み、憂鬱な気分
・興味や関心の喪失
・不安感、イライラ
・集中力や記憶力の低下
性機能症状 ・性欲の減退
・勃起不全(ED)、朝立ちの減少・消失

これらの症状が複数、かつ複合的に現れるのが男性更年期障害の特徴です。

原因は男性ホルモン「テストステロン」の低下

男性更年期障害を引き起こす主な原因は、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量が減少することです。

テストステロンは、筋肉や骨の形成、性機能の維持だけでなく、やる気や決断力といった精神的な活力にも深く関わっています。この重要なホルモンは20代をピークに、加齢とともに緩やかに減少していきますが、40代以降になると、その減少の度合いが大きくなったり、社会的ストレスが引き金となって急激に低下したりすることがあります。このテストステロンの低下が、先ほど挙げたような心身の様々な不調を引き起こすのです。

自分でできる症状セルフチェック(AMSスコア)

「もしかして自分も?」と感じた方は、国際的に用いられている質問票「AMSスコア」でご自身の状態を客観的にチェックしてみましょう。以下の17の質問に、症状の程度に応じて点数をつけて合計してみてください。

【AMSスコア評価方法】
なし:1点、軽い:2点、中等度:3点、重い:4点、非常に重い:5点

  • 1. 総合的に調子が思わしくない
  • 2. 関節や筋肉の痛み
  • 3. ひどい発汗
  • 4. 睡眠の悩み
  • 5. よく眠くなる、疲れやすい
  • 6. イライラする
  • 7. 神経質になった
  • 8. 不安感
  • 9. 体の疲労や行動力の低下
  • 10. 筋力の低下
  • 11. 憂鬱な気分
  • 12. 「人生のピークは過ぎた」と感じる
  • 13. 力尽きた、燃え尽きたと感じる
  • 14. ひげの伸びが遅くなった
  • 15. 性欲の低下
  • 16. 朝立ちの回数の減少
  • 17. 勃起力の低下

【評価の目安】
合計スコアが26点以下であれば正常、27~36点は軽度の症状、37~49点は中等度の症状、50点以上は重症とされ、専門医への相談が推奨されます。

病院ではどんな検査や治療を行うのか?

もしセルフチェックで気になる結果が出た場合や、症状によって日常生活に支障を感じる場合は、泌尿器科やメンズヘルスクリニックなどの専門医療機関に相談することをお勧めします。

検査方法

医療機関では、主に以下の検査を行います。

  • 問診: AMSスコアなどを用いて、自覚症状を詳しくヒアリングします。
  • 血液検査: テストステロン値(特に遊離テストステロン)を測定し、ホルモンの状態を客観的に評価します。これが診断の重要な根拠となります。
  • その他の検査: 必要に応じて、前立腺がんのスクリーニング(PSA検査)や、他の疾患を除外するための検査が行われることもあります。

主な治療法

診断の結果、テストステロンの低下が確認され、症状との関連が強いと判断された場合、以下のような治療が行われます。

  1. テストステロン補充療法(TRT): 不足しているテストステロンを注射や塗り薬で補充する、最も基本的な治療法です。多くの場合、数週間から数ヶ月で症状の改善が期待できます。
  2. 漢方薬: 症状や体質に合わせて、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬が処方されることがあります。
  3. 生活習慣の指導: 治療と並行して、食事、運動、睡眠、ストレス管理といった、テストステロンを維持・向上させるための生活習慣の改善指導が非常に重要です。

まとめ:気になる症状は一人で抱え込まず、専門家へ相談を

男性更年期障害(LOH症候群)は、決して珍しい状態ではありません。心身の不調を感じたら、「年齢のせい」と諦めてしまう前に、まずはご自身の状態を正しく知ることが大切です。この記事で紹介したセルフチェックは、そのための第一歩です。

そして、もしスコアが高かったり、症状が辛いと感じたりした場合は、一人で悩まずに専門の医療機関を訪ねてみてください。適切な診断と治療によって、以前のような活力ある毎日を取り戻すことは十分に可能です。

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