【専門医監修】40代男性が痩せない本当の理由|テストステロン低下と内臓脂肪の関係を解説
この記事の監修者
木下 藍(きのした あい)/ 内分泌代謝専門医・医学博士
40代以降の女性のホルモンバランスと代謝変化を専門とし、特に閉経周辺期の体重管理と生活習慣病予防に関する臨床研究に従事。
「若い頃と同じように飲み会に行っているだけなのに、お腹だけぽっこり出てきた」「ジムに通っても、昔のように筋肉がつかないし、脂肪も落ちない」
40代になり、このような体の変化に戸惑っている男性は少なくありません。その原因は、単なる運動不足や食べ過ぎだけではないかもしれません。実は、男性ホルモンである「テストステロン」の減少が大きく関わっています。
この記事では、なぜ40代男性が痩せにくくなるのか、その背景にあるテストステロンと内臓脂肪の深い関係を科学的根拠に基づいて解説し、今日から始められる具体的な対策をご紹介します。
なぜ40代男性は「ぽっこりお腹」になるのか?
女性が40代で女性ホルモン(エストロゲン)の壁に直面するように、男性もまた、男性ホルモン(テストステロン)の減少という大きな変化に直面します。テストステロンは「男性らしさ」を作るホルモンとして知られていますが、実は筋肉量を維持し、脂肪の蓄積を抑えるという重要な役割も担っています。
テストステロンの分泌量は20代をピークに、40代になると顕著に減少し始めます。この減少が、体に2つの大きな変化を引き起こします。
- 筋肉量の減少:テストステロンは筋肉の合成を促進します。そのため、テストステロンが減ると、同じようにトレーニングをしても筋肉がつきにくく、何もしないと筋肉はどんどん分解されてしまいます。筋肉は体の「代謝工場」なので、筋肉が減れば基礎代謝が落ち、消費カロリーが減ってしまいます。
- 内臓脂肪の蓄積:テストステロンには、脂肪をエネルギーとして燃焼しやすくする働きや、脂肪細胞の増加を抑制する働きがあります。テストステロンが減少すると、この「脂肪燃焼ブレーキ」が緩み、特にお腹周りに内臓脂肪が蓄積しやすくなるのです。
つまり、40代男性のぽっこりお腹は、筋肉が減って代謝が落ちたところに、内臓脂肪がつきやすくなるという「二重苦」の結果なのです。
テストステロンを維持し、内臓脂肪を減らす3つの基本戦略
テストステロンの減少は加齢による自然な現象ですが、その減少スピードを緩やかにし、影響を最小限に抑えることは可能です。サプリメントなどを検討する前に、まずは生活習慣の土台を見直す3つの基本戦略から始めましょう。
戦略① 筋力トレーニングを習慣にする
テストステロンを維持・向上させるために最も効果的なのが、「筋力トレーニング」です。特に、スクワットやデッドリフトのような、下半身の大きな筋肉をターゲットにしたトレーニングは、テストステロンの分泌を促す効果が高いとされています。
有酸素運動も重要ですが、まずは週に2回程度の筋トレを習慣にし、筋肉量の減少を食い止めることを最優先に考えましょう。
戦略② 「タンパク質」と「亜鉛」を意識した食事
食事はテストステロンの生成と筋肉の維持に直結します。
- タンパク質:筋肉の材料です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食しっかり摂り、筋肉の分解を防ぎましょう。
- 亜鉛:テストステロンの合成に不可欠なミネラルです。牡蠣、赤身肉、レバー、ナッツ類に多く含まれています。
過度な食事制限は、テストステロンの原料となるコレステロールまで不足させてしまうため逆効果です。バランスの良い食事を心がけましょう。
戦略③ 「睡眠の質」を高める
テストステロンは、主に睡眠中に分泌されます。特に、深いノンレム睡眠の時間に多く作られるため、睡眠時間が短い、または眠りが浅いと、テストステロンの分泌は著しく低下します。
毎日7時間以上の質の高い睡眠を確保することは、高価なサプリメントを飲むよりもはるかに重要です。寝る前のスマホ操作を控える、寝室の環境を整えるなど、できることから始めてみましょう。
まとめ:生活習慣の見直しから始める40代男性のダイエット
40代男性が痩せにくくなるのは、意志の弱さではなく、**テストステロンの減少**という明確な生理的変化が原因です。
この変化に正しく対処するためには、まず**「筋トレ」「食事(タンパク質・亜鉛)」「睡眠」**という3つの生活習慣の土台を見直すことが不可欠です。これらの基本的な対策を実践するだけでも、体は少しずつ変わり始めます。
そして、これらの努力をさらに加速させたい、補助的なアプローチも検討したいという場合には、脂肪燃焼をサポートするサプリメントなどを活用するのも一つの選択肢です。
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