妊娠しにくいのは「多嚢胞性卵巣症候群」が原因!?症状や治療法を解説

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この記事の執筆者

石野博嗣先生

執筆者

医療法人社団 石野医院

副院長:石野博嗣 先生

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局
日本医科大学付属病院
産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院
(現 横須賀市立うわまち病院)
産婦人科
2002年 東京都保健医療公社
東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院
女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院
女性診療科・産科 助手

現在は石野医院の副院長

専門は漢方(東洋医学)、産婦人科

患者さん一人ひとりに合った薬を作るため、自由にさじ加減ができる煎じ薬を第一と考える。
診療では一人ひとり丁寧に症状の診断を行い、情報の発信を行う。

妊娠したいのになかなか妊娠できない、または妊娠しても初期流産してしまうという人が多いといわれています。

このような場合、もしかしたら「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群(PCOS)」かもしれません。

多嚢胞性卵巣症候群では、卵胞が卵巣内にできるにも関わらず、成長しても破裂しないことで、多くの卵胞が卵巣壁にくっついて厚くなります。

その結果、正常な排卵が行われない排卵障害として、不妊の大きな要因になっています。

今回は、女性にぜひ知っておいてもらいたい多嚢胞性卵巣症候群についてご紹介します。

多嚢胞性卵巣症候群とは?

多嚢胞性卵巣症候群は、卵胞の発育に時間がかかるため、小さい未成熟な卵胞が複数できます。

卵胞が未成熟で排卵できないため、排卵後に起こるはずの高温期が起こらず、生理自体が来ないという人もいて、20~30代くらいの若い女性の排卵障害で多くみられるといわれています。

多嚢胞性卵巣症候群の症状

①月経の周期が35日以上

②以前は順調だった月経が現在は不順

③にきびができやすい

④肥満

⑤やや毛深い

多嚢胞性卵巣症候群の原因と予防法

卵が複数できた卵巣

多嚢胞性卵巣症候群の原因はいまだ明確に分かっていないといわれていますが、原因の一つとして、ホルモン異常により卵巣からの排卵が起きにくくなることが挙げられます。

男性ホルモンの代謝が多いことで排卵しにくい状態になっており、それには生活習慣が大きく関与していることが分かってきたといわれています。

内臓脂肪が多い「隠れ肥満」や、脂肪分や糖分を多く摂取する、運動不足、ストレス過多、不規則な生活リズムなども原因と考えられています。

また、遺伝的に糖尿病リスクが高いことも可能性として挙げられます。

糖代謝との関連は深いとされており、甘いものを毎日大量に摂取している人は控える、適度な運動で肥満を防ぐなど、生活習慣を改善することが予防法の一つです。

さらに、インスリン抵抗性も原因の一つといわれています。

インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に機能しない状態のことです。

インスリン抵抗性があることで、インスリンを上手に使用することができずに過剰分泌され、LH(排卵を促進するホルモン)とインスリンが正常よりも強く卵巣に作用するようになります。

LHとインスリンは卵巣での男性ホルモン生産を促すので、卵巣内で男性ホルモンが過剰に分泌された状態になり、これが排卵障害を起こす原因になるといわれています。

多嚢胞性卵巣症候群の症状である「にきびができやすい」「毛深い」というのは、男性ホルモンが多いことを示しています。

多嚢胞性卵巣症候群は妊娠しにくい?

妊娠検査薬を試す女性

多嚢胞性卵巣症候群は、無排卵の最大の原因といわれている疾患ですが、自覚症状が月経不順のため、まさかこれが病気だとは思わず長期間放置してしまう人が多いといいます。

この長期間の放置により、治療法である排卵誘発剤が効きにくい体質になってしまうことがあります。

その結果、妊娠しにくい状態(不妊)につながってしまうと考えられています。

また通常は1個成長して排卵する卵ですが、多嚢胞性卵巣症候群では、同時に数個できることで成長しにくく、排卵もしにくいため不妊につながるのではないかとも考えられています。

多嚢胞性卵巣症候群を治療する

多嚢胞性卵巣症候群の検査について

患者の手を握る女医

多嚢胞性卵巣症候群の検査は、主に3種類あります。

①超音波検査で卵巣にネックレスサイン(小さな卵胞10個以上)が認められるかを確認する

②開腹または腹腔鏡で卵巣の表面隆起や白膜肥厚が認められるかを確認する

③組織検査において内芙膜細胞層肥厚、増殖、また間質細胞増生が認められるかを確認する

多嚢胞性卵巣症候群の診断

多嚢胞性卵巣症候群には診断基準があります。

月経異常

無月経、無排卵周期症、稀発月経(月経周期が39日以上3か月以内)、頻発月経などがみられます。

多嚢胞性卵巣

超音波検査において、両側卵巣に多くの小さい卵胞が認められ、少なくとも、一方の卵巣で2~9mmの小さい卵胞が10個以上確認できます。

ホルモン値異常

LH(排卵を促進するホルモン)が基礎値高値かつ、FSH(卵巣を刺激して卵胞を成熟させるホルモン)が基礎値正常。(正常な場合は、FSH>LH)

そして、血中男性ホルモン(テストステロン)が高値。

上記をすべて満たしたとき、多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。

多嚢胞性卵巣症候群の治療

妊娠の検査をする女性

今すぐ妊娠を希望する場合

排卵誘発剤(クロミフェン投与やhMG-hCG療法)の服用による排卵誘発法

hMG-hCG療法(排卵誘発剤の注射による治療法)では、卵巣過剰刺激症候群(卵巣内の卵胞が一気に成長して卵巣腫大する)を発症する恐れがあるため注意が必要です。

腹腔鏡下卵巣焼灼術

腹腔鏡を用いて、電気メスやレーザーで卵巣に何箇所か穴を開け排卵しやすい状態にする術式です。

効果の持続期間は半年~1年くらいといわれています。

体外受精(未熟卵子体外培養体外受精法)

無刺激あるいは少し卵巣を刺激し、未成熟な卵胞を採取して、体外(培養液の中)で成熟させます。成熟した卵子を精子と受精させて、得られた胚を子宮腔内に移植します。

今すぐは妊娠を希望しない場合

低用量ピルの服用やホルモン療法による治療が行われます。

多嚢胞性卵巣症候群は、子宮体がん、卵巣がん、乳がん、肥満、糖尿病、心血管系疾患のリスクを伴いますが、低用量ピルを使用することでそのリスクを軽減することができるといわれています。

また排卵抑制により、卵胞増加を予防します。

いずれは子供を産みたいと考える場合

適正体重、体脂肪率にして、糖尿病治療薬であるインスリン抵抗性改善薬「メトホルミン」を投与します。

副作用について

多嚢胞性卵巣症候群の治療における副作用

①クロミフェン投与

この治療薬は副作用が少ないといわれています。

しかし、子宮内膜が厚くならないなどの副作用が出ることがあるため、排卵に対する有効性に比べ、妊娠に対する有効性が低下してしまう傾向にあるといわれています。

②hMG-hCG療法(排卵誘発剤の注射による治療法)

この治療法の副作用としては、多胎妊娠の可能性が高まる、卵巣過剰刺激症候群(排卵した後に卵巣が腫大して、腹水が溜まる)が起きやすくなることが挙げられます。

卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいのは、排卵誘発剤治療を使っている方で、「痩せている」「35歳以下の方」などといわれています。

まとめ

多嚢胞性卵巣症候群は、珍しい不妊原因ではありません。

スムーズな排卵誘発ができれば、一般治療で妊娠できる可能性が他の不妊原因より高いといわれています。

しかし、治療をせず放置すると、症状は悪化していきます。

すると、いざ妊娠したいと思ったときには、長期間に及ぶ治療が必要になり、思うようにいかないということにもなりかねません。

そのため、気になる症状がある場合には、できるだけ早めに医療機関を受診することをおすすめします。

 

執筆者/石野医院 副院長 石野博嗣先生

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