避妊失敗の救世主!?アフターピルのオンライン処方が始まる

日本で最もポピュラーな避妊法と言えば、コンドームによるものです。しかし、その避妊成功率は100%ではありません。失敗率は2%ほどあり、ピルの0.3%、子宮内避妊具(IUD)の0.1~0.6%と、ほかの避妊法と比べても高いことがわかります。
【参考URL】https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/gyousei-01-01.pdf
仕事や家庭の事情といった何らかの理由で、今はまだ子どもを持つことを望まないのに「避妊に失敗したかも…」と不安に感じることがあったら、どうしますか?そんなとき、心強い味方になるのがアフターピル(緊急避妊薬)※1です。
※1【関連記事】病院でアフターピルの処方をうける流れは?種類と、かかる費用を解説!
現在ではアフターピルのオンライン処方にのり出したクリニックもあります。これにより、「望まない妊娠」を迅速に防ぐことが可能になりました。
「国立成育医療研究センター 日本産婦人科学会専門医 前田裕斗先生」にアフターピルのオンライン処方のメリットや注意点などについて解説していただきました。
日本では入手しにくいアフターピル
欧米ではドラッグストアで購入ができ、一般的に使われることが多いようですが、日本ではまだ一般的とはいえないようです。
その理由のひとつに「入手のしにくさ」があると推測できます。性交後72時間以内に服用しなければ十分な効果が得られない※2にも関わらず、医師の処方が必要になります。
しかも、現状では全ての婦人科で取り扱いがあるわけではありません。また、諸外国と比べてもピルを飲み慣れない日本人にとって、副作用や服用後のトラブル※3も気になるところです。
※2【関連記事】アフターピルの効果がある確率は?72時間以内に服用を。過ぎたらダメ?
※3【関連記事】アフターピルの副作用は?いつからいつまで続く?出現確率も解説!
オンライン処方によるメリット
アフターピルのオンライン処方には、どのようなメリットがあるのかについて前田先生はこう答えてくれました。
「従来の来院による入手方法は、特に若い人や郊外に住む人にとっては、人目に付きやすく、手に入りにくいというデメリットがありました。
しかし、オンライン処方であれば、どんな人にもアフターピルを素早く届けることができます。緊急避妊を全ての人が簡単に受けられるというのが一番のメリットでしょう」
また、「早く内服するほどに効果が上がります」というように、72時間以内であっても、より早めの服用が効果的です。何らかの理由ですぐに病院へ行くことができない人にとって、オンライン処方という手段はメリットが大きいといえます。
オンライン処方による注意点
ただ、メリットだけでなく、手軽さゆえの注意点についても前田先生は語ってくれました。
「インターネットの普及により(処方なしで)薬をネットで購入することもできるようですが、そのような場合は届く薬が本物の薬ではない可能性も考えられます。
個人販売や輸入品ではなく、(アフターピルの)偽物 も出回っています。クリニックや病院から直接オンライン処方を受けて正規品を使用するようにしましょう」
アフターピルの服用方法について
アフターピルには、「ノルレボ」「ノルレボ ジェネリック」「ヤッペ法」があるようですが、それぞれ服用は、72時間以内に1度で良いのでしょうか?
服用の仕方について前田先生は、「ノルレボは性交後72時間以内に1錠を服用します。ノルレボのジェネリックについては、ノルレボと同様です。ヤッペ法は、性交後72時間以内に1回、その12時間後に2回目を服用します」
ヤッペ法だけは2回服用する必要があるようです。また、副作用として頭痛や吐き気を催す可能性がありますが、24時間以内に治まるのが通常です。ただ、服用の際は必ず医師の指示に従うようにしましょう。
【関連記事】アフターピルの効果がある確率は?72時間以内に服用を。過ぎたらダメ?
避妊失敗を避けるために
最後に避妊に失敗しないために、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
「妊娠を望まない人は、コンドームを使用しての避妊よりも、より確実に避妊できる経口避妊薬、つまり『低用量ピル』がおすすめです。またエイズや性器ヘルペスなどの性感染症の予防としてコンドームを併用してください。このように、二重に予防を行うことが女性を守ります」
避妊に失敗したかもしれないと思いながら、次の生理を待つ期間はとても不安です。アフターピルは、入手のしにくさも理由のひとつとなり、今まであまり身近な存在ではありませんでした。
オンライン処方が広まることで、アフターピルが今よりもっと身近なものになり、望まない妊娠を防ぐことで女性の心と身体が健やかでいられることを願います。
取材協力:国立成育医療研究センター 日本産婦人科学会専門医 前田裕斗先生